相続の準備を考えるとき、財産の整理や制度の理解に目が向きがちです。
しかし、その前に大切なのは「自分を知ること」かもしれません。
『論語と算盤』第一章「処世と信条」の中で、渋沢栄一は「蟹穴主義が肝要」と述べています。
これは、蟹が自分の甲羅の大きさに合わせて穴を掘るように、人もまた自分の身の丈を知り、それに応じて行動することが大切だという教えです。
人は時に、自分の力を過信して無理をしてしまうことがあります。
しかし、進むことばかりを考えて分を守ることを忘れると、思いがけない問題を招くこともあると渋沢は説いています。
相続の場面でも同じことが言えます。
財産の状況、家族との関係、自分が望むこれからの暮らし。
それらを冷静に見つめ、自分の状況を正しく理解することが、適切な準備につながります。
また、相続の対策にはさまざまな方法がありますが、すべての人に同じ方法が当てはまるわけではありません。
自分や家族の状況をよく知り、その人に合った形で備えていくことが大切です。
相続の準備は、単に制度を利用することではなく、自分の立ち位置を見つめることから始まります。
自分を知り、その上で行動する。
その姿勢を将来の安心につなげたいものです。
(2026.3.16)
相続対策のご相談を中心に、「何から始めればいいか分からない」という段階からのサポートを行っています。