「母が安心して暮らせるように、自宅をリフォームしたい」と考える、50代の息子さんがいらっしゃいました。
ご両親は80代で、お父様は軽度の認知症と診断され、現在は施設で生活されています。
お母様は長年住み慣れた自宅で暮らしていましたが、足腰が弱くなり、
・段差
・階段
・浴室
などの日常生活に不安が出てきていました。
そのため、ご家族では、「自宅をバリアフリー化して、できるだけ安心して暮らしてほしい」と考えるようになりました。
しかし問題になったのが、自宅の名義がお父様になっていたことです。
リフォーム費用の一部について銀行へ確認したところ、自宅を担保に入れる必要がありました。
ところが、不動産を担保に入れるには、所有者本人の意思確認や契約手続きが必要になります。
もし、お父様の判断能力が大きく低下した後であれば、
・契約
・抵当権設定
・融資手続き
が難しくなる可能性もありました。
そこで、このご家族では、お父様の判断能力が十分にあるうちに、信託を活用しました。
契約内容としては、
・委託者:父
・受託者:長男
・受益者:父と母
・信託財産:自宅不動産
という形です。
これにより、自宅の管理や必要な契約手続きは、受託者である長男が進められるようになりました。
その後、お母様の状態に合わせて、
・手すり設置
・段差解消
・浴室改修
などのリフォームを、スムーズに進めることができました。
また、ご家族としても、「もし今後さらに介護が必要になった場合はどうするか」を含めて、少しずつ話し合えるようになったそうです。
相続対策というと、「亡くなった後の話」と思われがちです。
しかし実際には、“今の暮らしを、安心して続けるための準備”として活用されることもあります。
信託は、財産を守るためだけでなく、“家族が、その時々に必要な選択をしやすくする仕組み”とも言えるのです。
(2026.5.28)
相続対策のご相談を中心に、「何から始めればいいか分からない」という段階からのサポートを行っています。