「孫が大学へ進学するときは、入学費用を出してあげたい」と考える、60代後半のお父様がいらっしゃいました。
娘さんには小学生と保育園に通うお子さんがおり、祖父として、将来の教育を支えたいという想いを持っておられます。
一方で、「数年後、もし判断能力が低下したら、本当に入学資金を出せるのだろうか」という不安もありました。
最近は銀行の本人確認も厳しくなっており、高齢の親の口座から大きなお金を動かす際には、手続きが止まってしまうケースもあります。
また、成年後見制度を利用した場合でも、“本人のため”以外の支出には慎重な判断が求められることがあります。
そのため、「元気なうちは『孫のために使いたい』と思っていたのに、いざという時には動かせない」というケースも、実際には少なくありません。
そこで、このご家族では信託を活用しました。
契約内容は、
・委託者:父
・受託者:娘
・受益者:父
・信託財産:教育資金用の預金
という形です。
あらかじめ、「将来、家族のために必要な教育費などがあれば、信託口座から支払う」という内容を決めておくことで、将来もし判断能力が低下した場合でも、娘さんが手続きを進められるようにしました。
なお、必要な都度、生活費や教育費として直接充てられる、扶養義務者からの贈与には、贈与税がかかりません。
このご家族では、「ただ財産を残す」のではなく、“孫の未来を応援したい”という気持ちを、形にして準備されました。
相続対策というと、財産を「誰に残すか」に目が向きがちです。
しかし実際には、「どんな想いで使ってほしいのか」まで考えておくことで、家族の安心につながることもあります。
信託は、財産を管理するためだけではなく、“家族の想いを、未来へつないでいくための仕組み”として活用されることがあるのです。
(2026.5.28)
相続対策のご相談を中心に、「何から始めればいいか分からない」という段階からのサポートを行っています。