子どものいないご夫婦の場合、「夫婦のどちらかが亡くなった後、財産をどう引き継ぐか」だけでなく、“その次に、誰へ承継されるのか”まで考える場面があります。
60代のご夫婦にはお子さんがおらず、現在は、親から受け継いだ土地を貸し出し、その賃料収入を生活費の一部にされています。
奥さまには、「自分が先に亡くなったら、まずは夫に安心して暮らしてほしい」という想いがありました。
一方で、「先祖代々の土地なので、最終的には自分の親族へ引き継ぎたい」という希望もありました。
通常の遺言では、「まず夫へ相続させる」ことはできます。
しかし、その後に夫が亡くなると、今度は夫側の親族へ財産が移る可能性があります。
そこで活用したのが、信託でした。
契約内容としては、
・委託者:妻
・受託者:夫
・受益者:妻 → 妻死亡後は夫 → 夫死亡後は姪
・信託財産:賃貸用土地
という形です。
これにより、まずは夫が賃料収入を受け取りながら生活し、その後は、妻側の姪へ財産を引き継ぐ流れをあらかじめ決めておくことができました。
このように信託では、「次に誰へ承継するか」だけでなく、“その次の承継先”まで設計できる場合があります。
これは、「受益者連続型信託」と呼ばれる仕組みです。
相続対策というと、「誰に財産を渡すか」に目が向きがちです。
しかし実際には、“その財産を、どんな想いで、誰へ繋いでいきたいのか”を整理することも大切です。
信託は、財産を管理するだけでなく、家族の想いや、先祖から受け継いだ財産の流れを整えていくための方法の一つになるのです。
(2026.5.28)
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