親が高齢になると、
・将来、施設に入るかもしれない
・実家をどうするか決めきれない
・子どもは遠方に住んでいる
といった悩みが出てくることがあります。
特に最近は、「できる限り自宅で暮らしたい」という想いと、「将来的には施設入所も考えたい」という想いを、同時に持たれる方も少なくありません。
ある78歳の女性も、そんな悩みを抱えていました。
ご主人を亡くされた後、東京都のご自宅で一人暮らしを続けており、
・長男は神奈川県在住
・長女は千葉県在住
という状況でした。
ご本人としては、
「子どもたちに迷惑はかけたくない」
「元気なうちは自宅で暮らしたい」
「将来は、医療体制の整った施設に入りたい」
という希望を持っていました。
ただ、その施設へ入所するには、まとまった費用が必要です。
現在の預金だけでは不足するため、将来的には自宅を売却して費用に充てる必要がありました。
一方で、「いざ売ろうと思った時に、自分で判断できなくなっていたらどうなるのだろう」という不安もありました。
実際、このようなケースでは、認知症などによって不動産売却がスムーズに進まなくなることがあります。
成年後見制度を利用した場合でも、
・家庭裁判所の関与
・後見人の判断
・売却許可の問題
などから、本人や家族が望むタイミングで売却できないケースもあります。
そこで、このケースでは、元気なうちに信託を活用する方法が検討されました。
具体的には、
・委託者:母
・受託者:長男
・受益者:母
・信託財産:自宅土地建物
という形です。
長男へ管理・売却権限を託しておくことで、将来、母の判断能力が低下した場合でも、施設入所に必要なタイミングで自宅売却を進めやすくなります。
また、母は引き続き自宅で生活を続けながら、「必要になるまでは住み続ける」という希望も持ち続けることができます。
信託というと、「相続対策」のイメージが強いかもしれません。
しかし実際には、“これからの暮らし方や住まいの選択を、自分らしく整えておくための仕組み”として活用されることもあるのです。
(2026.5.28)
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